北尾企画事務所 / 北尾昌大
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1. ロックスターとの出会い

今の自分につながる物語のはじまりは1人のロックスターとの奇跡のような出会いから。
 
1996年、学生がメールアドレスを持っていたのは日本ではまだ、自分の通っていた慶應湘南藤沢キャンパス(SFC)だけ。そんなインターネット黎明期の話。授業の課題の延長で、自分のホームページを作ることに没頭していた大学1年生のある日、昔から憧れていたX Japanのギタリスト、故hideさんのソロ・コンサートツアー「PSYENCE A GO GO」を見に、代々木体育館へと足を運んだ。
 
後にも先にもhideさんほどカッコよく才能に溢れた人間はいないと思っている。未だに憧れのロックスターだ。席に付き開演前のステージをふと見た時の景色は今も鮮明に覚えている。【http://live.co.jp/hide/】電光掲示板に赤い文字でホームページのURLが流れていた。Googleが設立されるもっと前の話。忘れないようにURLをボールペンで腕に書き記した。その謎の文字列は、インターネットにさわったこともない友人たちには、ポカーンだった。
 
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ホームページからは本人にeメールを送ることができた。帰宅後、コンサートの感想を送ると、なんと翌日、本人からの返信が届いた。数時間前にステージの上で華やかにギターをかき鳴らしていた憧れの人と繋がってしまった感覚は、理解を超越したのか、その時の感情はまったく覚えていない。
 
気がつくと2人はメル友になっていた。「今、LAではこんな音楽が流行っている」と教えてもらうと、すぐにタワレコでCDを購入し自分のHPにレビューを書いた。「今度、友達が下北でライブやるよ」と教えてもらうと、ライブハウスに足を運び、そのバンドを紹介するHPを作った。幸せなインターネットライフ。
 
そんなやりとりを続けて1年が経った頃「今度、久々に日本でイベントやるから遊びに来なよ」とメールが届いた。伝説のイベント「LEMONeD Mix Jelly」だ。渋谷から西麻布までの六本木通り沿いにある数カ所のクラブが会場。誰が何時に何処で出演するかは分からない。各会場にはインターネットに繋がったMacが設置されていて、掲示板に書かれた情報を頼りに、六本木通りを行ったり来たりしながらオールナイトで楽しむ。スマホどころかiモードもなく、第1回のFUJI ROCKが開催される前、フェスなんて言葉聴いたこともない時代の話だ。
 
徹夜で朝まで遊ぶのも人生はじめてだったその夜は、人生でも何本かの指に入るくらいに楽しい時間だった。おそるおそる楽屋の扉を開け、hideさんに挨拶に行くと、まさかのそのまま打上げに同行。「おまえ面白いな!明日も遊ぼうよ!」翌日も翌々日もhideさんの友達のライブに連れて行ってもらったり、朝まで飲んだりとたっぷり遊んでもらいました。
 
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写真は、はじめて会った日のイベントの打上げの時の1枚。なんでもない1人の大学生が1通のメールをきっかけに、世界中のファンからリスペクトされる超有名ギタリストと仲良くなる。この奇跡の出会いが、今に続く自分の人生を決定づけました。
 
今では当時のhideさんよりだいぶ歳もとってしまいましたが、それなりの立場にもなってきたこともあり、自分がhideさんにしてもらったように、まだ世間を知らない、そして世間からも知られていない若い才能溢れる人にチャンスを提供することは、自分にできるhideさんへの恩返しだと思っており、機会にふれて、若い才能を支援させてもらっています。